
不動産所得の確定申告はいくら必要?費用の目安や抑え方も紹介
不動産からの収入がある方にとって、「確定申告は必要なのか」「申告にどのくらい費用がかかるのか」は非常に気になるポイントです。特に今後、不動産所得にかかる申告要件が見直される予定もあり、正確な知識が求められます。本記事では、不動産所得の基礎から確定申告の費用相場、節税につながる申告方法や費用を抑えるポイントまで、詳しく解説します。不動産オーナーが安心して手続きを進められるよう、わかりやすくご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
不動産所得とは何かと確定申告が必要になる基準
「不動産所得」とは、家賃収入や更新料、礼金などの不動産にかかる総収入から、必要経費を差し引いた金額を指します。不動産所得が黒字で納税する必要がある場合には、確定申告が必要です。しかし、給与所得者で不動産所得が年間20万円以下であれば、申告が不要となるケースもあります。この点は多くのサラリーマン大家さんにとって重要な判断材料となります。
「サラリーマン大家」と「専業大家」で申告要件が異なる点も押さえておきましょう。給与所得者の場合、不動産所得が20万円以下であれば申告の義務はありませんが、それを超えると申告が必要になります。一方で、専業大家さんは、所得の多寡にかかわらず、所得税の納付が必要な場合は申告義務があります。
さらに、2025年分以降、基礎控除の枠が改正され、最大で95万円まで適用される仕組みが導入されます。具体的には、所得の少ない層を対象に、控除額が従来の48万円から最大95万円に引き上げられました。年収200万円以下の方は特例加算込みで95万円の控除が受けられます。この改正により、申告要件にも影響が出てくる場合がありますので、ご自身の所得水準に応じて確認しておくことが大切です。
| 分類 | 申告必要か | 備考 |
|---|---|---|
| 給与所得者(副収入として不動産所得) | 不動産所得が20万円以下であれば不要 | 超えると確定申告が必要 |
| 専業大家 | 原則、所得が黒字で納税義務があれば必要 | 所得の多寡に関わらず確認を |
| 基礎控除の改正後 | 最大95万円の控除が可能 | 所得水準に応じて控除額が異なる |

確定申告にかかる費用の内訳(自身で行う場合と税理士に依頼する場合)
まず、ご自身で確定申告を行う場合に必要な主なコストについてご説明いたします。e‑Tax(電子申告)を利用する際には、パソコンやマイナンバーカード、カードリーダーなどの初期費用が一部必要です。また、会計ソフトをご利用の場合、無料のものから年間数千円~1万円程度の有料ソフトまであり、専門的な帳簿付けや収支内訳書・青色申告決算書の作成が簡便になります。そのほか、申告に必要な帳簿や領収書の整理のための時間や労力も考慮すると、ご自身で行う場合のコストは「金銭負担+時間負担」の両面で発生するとお考えください。
次に、税理士に依頼した場合の費用の相場をご紹介します。不動産所得の確定申告では、通常、1室あたり0.5万円~5万円程度が目安とされています。物件数が多い場合や複雑な内容になると、費用はさらに増加することもあります。併せて、個人事業主として白色申告の場合は約5万円~10万円、青色申告では10万円~20万円が相場とされています。一般的な確定申告(不動産以外の所得を含む場合)では、数万円~30万円程度という幅も見られます。
また、税理士に確定申告を依頼した際の費用を経費として計上できる点も見逃せません。不動産所得にかかる税理士報酬や専門家への手数料は、必要経費として処理が可能です。これにより税負担を軽減する効果もあるため、費用対効果の視点からも合理的な選択になる場合があります。
以下に、上記内容を表形式でまとめます。
| 項目 | 自身で申告 | 税理士に依頼 |
|---|---|---|
| 主な費用 | 会計ソフト年数千~1万円、e‑Tax用機器初期費用 | 1室あたり0.5万~5万円、白色5万~10万円、青色10万~20万円 |
| 時間・手間 | 帳簿整理・資料準備・申告書作成に時間がかかる | 資料を渡すだけで申告完了、時間的負担が軽減 |
| 経費としての扱い | 会計ソフト等は経費として計上可能 | 税理士報酬も必要経費として処理可能 |
:青色申告のメリットと申告費用との関係
青色申告を選ぶと、不動産所得に対して高額な特別控除を受けられる点が大きなメリットです。具体的には、「事業的規模」と認められる場合には最大65万円の控除が可能となります。この事業的規模とは、一般的にはアパート10室以上または一戸建て5棟以上の貸付けを指します。また、複式簿記による記帳、損益計算書・貸借対照表の添付、期限内の申告提出に加え、e‑Taxによる申告または電子帳簿保存を行うことが要件です。これにより、控除額は最大65万円となり、節税効果が非常に高いと言えます。これらの要件を満たさない場合は、10万円の控除が上限となります。
一方、青色申告には手間や若干の費用がかかる面もあります。複式簿記による仕訳帳・総勘定元帳の記帳や財務諸表の作成が必要となるため、自作する場合は会計ソフトの導入が現実的です。ソフト利用料や導入研修などのコストが発生します。また、e‑Tax対応のための通信環境整備や電子証明書の取得に伴う費用も考慮すべきです。しかし、これらの初期投資は、長期的な節税効果により十分に回収可能と判断されることが多いです。
下表に、青色申告の控除額と関連費用の概略をまとめます。
| 項目 | 内容 | 費用または効果 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 事業的規模+複式簿記+e‑Tax等で65万円控除 | 節税額:最大65万円分 |
| 帳簿作成・会計ソフト導入 | 複式簿記の記帳を会計ソフトで効率化 | 数千円~数万円/年 |
| e‑Tax対応 | 電子申告への環境整備や電子証明書取得 | 数千円程度 |
以上のように、青色申告では初期負担があるものの、65万円控除による節税効果がそれを上回るケースが多く、結果的に有利となる可能性が高いため、不動産所得のある方には積極的に検討していただきたい申告方法です。

確定申告費用を抑えるためのポイント
不動産所得の確定申告にかかる費用を抑えたい方に向けて、以下の方法を整理します。
まず、必要経費を漏れなく整理することが重要です。必要経費には、固定資産税や都市計画税などの租税公課、火災保険料・地震保険料、管理費や修繕積立金、減価償却費、借入金利息、不動産関係での交通費や通信費、消耗品費、税理士など専門家への手数料など、多岐にわたります。これらを漏れなく計上することで、不動産所得が下がり、結果として所得税が減り節税につながります。
次に、税務署の申告書作成コーナーや無料のソフトウェアの活用によって、自己負担を軽減できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、インターネット上で申告書や青色申告決算書を作成・送信でき、e‑Taxにも対応しています。これにより、税理士に依頼する費用を節約できます。
さらに、領収書の管理やe‑Taxの早期準備もコスト抑制に有効です。領収書は白色申告で原則5年、青色申告では7年の保管が求められます。可能であれば10年程度整理・保管しておくと、税務調査時にも安心です。整理方法としては、月別や費目別に分類し、バインダーやファイルに整理するのが効果的です。
| 対策 | 内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 必要経費の整理 | 租税公課・保険料・減価償却費等を漏れなく計上 | 課税対象が減り、所得税が下がる |
| 無料作成ツール活用 | 国税庁の作成コーナーや無料ソフトで申告書作成 | 税理士依頼費用を節約できる |
| 領収書整理・保存 | 月別・費目別に整理し、法定期間以上保管 | 効率的な準備と調査対応の安心 |
以上のポイントを実践いただければ、ご自身での申告作業にかかる負担や費用を大きく抑えつつ、適切な節税効果を享受いただけます。

まとめ
不動産所得に関する確定申告は、基礎知識と費用の内訳を理解しておくことで、余計な出費や手間を抑えることが可能です。自身で申告を行うか税理士に依頼するかによって費用は大きく異なりますが、経費として処理できる費用もあり、特に青色申告を活用することで控除や節税効果も見込めます。また、日々の領収書管理や申告準備を怠らないことも費用削減には不可欠です。不動産所得の申告費用に不安がある方は、正しい情報をもとに、ご自身に合った方法を選択することが大切です。